「津波の伝わり方」の学習サイト


このサイトは,日本周辺の海域のどこでどの程度の大きさの地震が発生すると,
どこへどのぐらいの津波のエネルギーが届くのか,どのくらいの時間で伝わるか,の概略を,
みなさんが自分でいろ いろ試して学べる場所です.

いろいろな震源域(地震の発生場所)やマグニチュード(地震の大きさ)で
たくさん試してみて,その結果を見比べてみましょう.

自分の住まいに近い沿岸部にはどんな津波がいつ頃やってくるか,
地震の大きさや発生場所の違いによって,変わる様子などを自習できます.


入り口はこちら
使用上の注意

手法はTakahasi(1951)に準じた概算であり,海底地形も1km四方毎の粗い精度の計算です.
従って海岸での波の高さではなく,少々沖合での「津波のエネルギー量」が表示されます.
エネルギーが大きいほど強い力の津波が近くの陸に届くことを示します.
津波は高さだけでなく,強さによって被害が違ってきます.
大きなエネルギーの津波は,大きな物を壊したり動かしたり,より広い範囲に影響を与えます.

また,到達時刻も概算です.日本全体の図に10分毎の色分け表示で示されます.
このサイトで示す到達時刻は,海が浅くなると津波の進む速度が遅くなることなど,
津波がどのように広がって伝わっていくか,全体を知る学習にお使いください.

実際の津波避難には,お住まいの自治体の浸水予測図など,
より詳細な計算結果に基づくものを参考にしましょう.
このサイトでいろいろ試すことによって,津波の伝わり方をよく知りましょう.

滅多には来ない大津波を,恐れず,忘れず,侮らず,自然災害に負けない力を育みましょう.
そして,もし海辺で強いゆれや,ややゆっくりした長いゆれを感じた時は, 万一を考えてすぐに高台へ避難しましょう. 津波から命を守るには,高くて安全な所への避難が最も有効です.


「津波エネルギーの広がり方学習サイト」の利用上の注意

  1. 震源域の設定は、どんな形でも構いませんが,一筆書きで途中線が交差しないように設定してください.最後に指定した点をダブルクリックすると、最初の点と自動的に結んでくれます.
  2. 震源域設定の参考用として、羽鳥徳太郎氏による5つの地震の波源域が利用可能です。震源域設定画面から選択してみてください。
  3. 「到達時刻」の結果はpdfファイルで送られ来ます。ブラウザーのポップアップを許可してください。
  4. 震源域が設定できるのは,「震源域の設定」で表示される青線で囲んでエリア内です.過去に津波被害をもたらした日本近海の地震発生領域より広めに設定されております.
  5. 太平洋側では,地震規模はM6.8~M9.5が選べます.また,太平洋側の震源域は,すべて太平洋プレート又はフィリピン海プレー トの境界面上にある逆断層の地震の場合として計算されます.従って,陸に近い場所ではやや深い地震が発生した場合の津波エネルギーが示されます.陸側のプレート の表面で発生した浅い大地震による津波の計算結果は示されません.また,地震による海底地すべりなどによる津波も計算には入っていません.このサイトの計 算結果に関わらず,海辺や海に近い場所で,強いゆれや,ややゆっくりした長いゆれを感じた時は,万一を考えてすぐに高台へ避難しましょう.
  6. 日本海側では,能登半島から北側では浅い逆断層の地震,それより西側では横ずれを伴う浅い地震とした概算です.また地震規模はM6.8~M8までを選択できます. 日本海側では大陸から反射した津波が数時間後に戻ってくるため,太平洋側に比べて,津波避難を長時間実施する必要があります.また,太平洋側と比べると,同じ高さの津波がより小さい地震規模で襲来します.十分な注意が必要です.
  7. 到達時刻の計算では,海底地形の精度の制約で,瀬戸内海の淡路島の北西側の部分には津波の到達時刻が計算されません.これは概算手法の限界です.実際の津波 は,鳴門海峡を越えて香川や兵庫の方へも到達します.瀬戸内海沿岸の方は,避難には各県の津波浸水予測図などをご活用くださ い.

謝辞

 本サイトの開発は文部科学省の委託によって行われました.
地図表示には国土地理院地図サービスを,到達時刻の表示図の作成にはGMTを利用しております.

参考文献

 国土地理院, 2012, 地理院地図,http://maps.gsi.go.jp/development/
松浦律子・安重晃・坂本英樹・庄司正弘, 2015, 簡易津波伝播計算ウェブサービスの開発, (公社)日本地震学会秋季大会講演予稿集, S18-P02.
Takahasi, R.,1951, An Estimation of Future Tsunami Damage Along the Pacifc Coast of Japan, Bull. Earthq. Res., Inst., 29, 71-95.
Wessel, P. and W. H. F. Smith, 1998, Free software helps map and display data, Eos Trans. AGU, 72(41), 441–446, doi:10.1029/90EO00319